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金沢百枝『ロマネスク美術革命』

久々の更新。尊敬する先輩であり友人である美術史家金沢百枝さんの『ロマネスク美術革命』。昨年のサントリー学芸賞を受賞し、その素敵なお祝いの会にも呼んで頂きました。あんな、草の露を飲んで美しいことばかり考えているような人たちが集まるときには集まるのだから、現代の東京も捨てたもんじゃないんだなと思います。

ずいぶん前にご本を頂いてからずっと書評を書こうと思っている間にいろいろなところで書かれ、建築史界隈でも五十嵐太郎さんや倉方俊輔さんが書かれ、なんだか機を逸したという感じで愚図な自分が嫌になります。が、良い本はいつ評しても良いものだと思うので、また書きます(っていま書かないのか、という感じですが、手元にメモがない…)。

内容についてはおいおいご紹介するとして、くだらないエピソードを一つ書くと、この本を昨年のクリスマスに父(宇宙物理学者)に贈りました。父はケンブリッジに住んでいたことがあるし、学会等でヨーロッパはよく行っていたのですが、はっきり言って西洋美術史の知識は皆無です。僕がスペイン中世建築(それも初期)を研究し始めてからは、「ロマネスクってあれでしょ、あの小さい田舎の教会でしょ」と何度も何度も言われ、辟易としました。

父は結構しつこいのです。それに、文学に感銘を受けるタイプでもありません。しかし、彼の「ロマネスクってあのゴシックになる前の小さい教会でしょ」が、金沢さんのあの手この手で解体されていって、ロマネスクがいかに革新的であったかというのが少しは伝わったみたいです。とくにバイユーのタペストリは見たことがあったり、世界史的な知識と結びつくところがあったので面白かったようです(父は権威に弱いので、サントリー学芸賞受賞というのもよかったのかもしれません…)。

 

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Krautheimer’s “conquest of provinces”

話は聞いていたけれど、中央公論美術出版からクラウトハイマーの『ローマ ある都市の肖像312-1308』が出版されるそうですね。ついに。

(日本のAmazonでは中古しか扱ってないですね。アメリカ版だと30ドル台だけど、それは見なかったことにしましょう…)

これはヨーロッパの中世建築史や都市史をやっている人にとっては知らない人はいない名著なわけですが、この312-1308という期間の渋さを考えると、初版1980年から30余年を経て、この本が邦訳されたのは偉業と言って良いと思います。おそらく欧米でも大半の人はこの時期のローマのことをそんなに知らないと思うのですが、キリスト教的な関心が欧米よりも低い日本においては、なおさら、ローマといえばコロッセオ、パンテオンをはじめとする古代ローマの遺跡であり、サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂やとレヴィの泉やスペイン階段であるわけですから。

さて、といっても今回はこの本の内容を紹介したり批評をするというのではなくて、この本のPrinceton University Press, 2000年版の序言として載っている、1995年にMarvin Trachtenberg氏が書いたobituaryに、ちょっと考えるところがあったからです。

トラクテンバーグの追悼文(クラウトハイマーは1994年に亡くなっている。1897からほぼ1世紀生きていて、てことは『ローマ』が書かれたのは83歳くらいのとき!)は、おもにクラウトハイマーが書いた数少ないルネサンス関係の論文から、彼のアルベルティに対する憧憬のようなものを浮かび上がらせるものですが、その中で、こんなことを書いています(日本語版はまだ拝見していませんが、この序言も訳されているのでしょうか)。

…none of his great subjects were considered central to art history in the absolute way the Renaissance was. Krautheimer’s genius was to work brilliantly on the margins—to “conquer provinces,” as (Walter) Friedländer described the necessary work of young art historians—and Krautheimer’s conquered provinces were many…

クラウトハイマーの業績として、ローマの初期キリスト教建築大全であるとか、ビザンティン建築史、それから私は未読ですが托鉢修道会の教会堂建築、シナゴーグ、プーリア・ロマネスク、といったテーマが挙げられるのですが、それらは数百年の間美術史が頂点に置いてきたルネサンス美術・建築からするとマージナルなテーマです。いわば、フリートレンダーの言葉を借りて筆者が言うように、クラウトハイマーの業績は「地方の征服」であったわけです。

この言葉を読み、私の恩師である鈴木博之が言っていた「真ん中(王道、とか中央、だったかも)をやれ」という言葉が思い起こされました。何年も前から言っていたのかもしれませんが、わたしがこの「真ん中、王道をやれ」を聞いたのはたしか鈴木先生が東大を退官する直前であったように記憶しています。わたしはすでに学位論文を少なくとも執筆中であり、あとには戻れない状況。東大の西洋建築史はおろか、日本でほぼ誰もやっていないスペインの中世建築をやりたいと言ったときに、とくに引き止めてもくれなかった鈴木先生を恨んだ?ものです…。まあ、そうは言っても、「真ん中」というのは一番流行っているという意味ではなくて、極力クリティカルな問題を見つけろということなのかもしれないし、日本という世界建築史の傍流にありながらある意味で非常に特殊で質の高い建築を産んだ国にいるからこそ生まれた問題意識なのかもしれません…。

とにかく、クラウトハイマーのようにガツンと地方を征服できるように、100歳まで地道に頑張りたいものです。

ちなみにユダヤ系でナチスにドイツを追われてアメリカに行き、その間に強制収容所で多くの家族を失ったクラウトハイマーは、Wittkower, Heydenreich, Lotzと同時期に活躍し、Miesとも(シーグラム・ビルのパトロンであったPhyllis Lambertを介して(間接的に?))関係があったようです。またJames Ackerman, John Coolidge, Howard Saalmanのお師匠さんでもあります。ミニマル・アーティストのジャッドが美術史を師事したのがウィットカウアーやシャピーロであったことを考えると、20世紀の欧米における美術史と、近代建築と、近代アートには抜き差しならない関係があるなあという印象を受けます。

ちなみに日本でも伊東忠太から建築史が始まると言われますが、太田博太郎『日本建築史序説』なんかを読むと、そのスポーツのような明快でジョック・スピリットにあふれたマルバツの付け方に、近代建築の考え方が反映されているというのはよく言われるところですし、逆に丹下健三や磯崎新には、太田や伊藤ていじら、当時の建築史的解釈の影がちらつきます。

もしかしたら建築以外のデザインにはあまりこうした干渉性はないのかもしれないけど、歴史的な建築や美術を対象にした言説が、同時代の建築・美術の生産とどう関わったかというのは少し気になるテーマです。

Yuken Teruya’s MacDonald’s Paper Bag Tree

Camera Roll-400 by yoxito
Camera Roll-400, a photo by yoxito on Flickr.

I’ve just been to a small exhibition at Capsule gallery, Mishuku (Ikejiri/Sangenjaya), Tokyo where you can see recent works of Yuken Teruya, just for weekends.

This time mainly he showed us all these miniature, fragile, delicate trees made of paper bags from MacDonald’s, Starbucks, and some fashion boutiques like Prada or Louis Vuitton.

The balance of conceptual manipulation and artisanal quality, absurdity in a good sense and surprising beauty of his works is amazing!

He himself was working there repairing some of his paper-bag-made-tree.

A friend of mine, Rie once worked for him when he held an exhibition at Hara Museum, Tokyo where I had a chance to salute him.

He possibly didn’t remember me but kindly explained us his works. Loved it!

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